生理前の期間は、身体的にも精神的にも不安定になることが多い時期です。
特に思い当たる理由もないのに不安を感じたり、寂しさを感じたりすることはありませんか?
原因として「PMS(月経前症候群)」が思い浮かぶかと思いますが、PMSの中でも日常生活に支障をきたすほど精神的に不調を感じる場合は「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性があります。
今回はPMSとPMDDの症状や2つの違い、対処方法などについて解説していきます。
生理前に寂しくなる!PMSではなくPMDDの可能性?
PMSは一般的にもよく知られている症状ですが、PMDDとなるとあまり聞いたことがないかもしれません。
その2つの違いについてご説明していきます。
PMSとPMDDの違いとは?
PMSとPMDDは、どちらも腰痛、乳房の張り、頭痛、めまいなどの身体的症状や、イライラする、憂鬱な気分になる、不安を感じるなどの精神的症状が現れます。
その中でも、とりわけ精神的症状が日常生活に支障をきたすほど重い場合はPMDDの可能性があります。
PMDDの精神的症状は深刻になりやすく、うつ病の1種と言われることもあるのです。
症状の違い!寝込むほど辛くなるのは?
「日常生活に支障をきたすレベル」というのは、学校や会社に行けなくなるほど辛かったり、普段はできているのにその時期だけ人とうまくコミュニケーションをとることができなくなったりする場合などが挙げられます。
こういった症状に悩まされている方は、PMSよりも重い症状のPMDDかもしれません。
発症はどちらも2週間ほど前から数日前と様々!
それでは、発症しやすい時期はいつぐらいからなのでしょうか?
もちろん個人差はあるものの、ホルモンバランスの関係でおおよそ生理の2週間前~数日前から発症する場合が多いようです。
もうすぐ生理が来るという時期に身体的・精神的不調を感じた場合は、PMSやPMDDの可能性が高いということを覚えておきましょう。
発症しやすい年齢は?
PMSやPMDDを発症しやすい時期はあるのでしょうか?
どの年代でも可能性はありますが、妊娠や出産などが多くなる20代~40代の女性に多く見られると言われています。
判別する方法は?
それでは、PMSなのかPMDDなのか見分けるための方法はあるのでしょうか。
PMDDは、PMSよりも精神的症状が重いことが特徴的です。
そのため、「生理前は身体的症状よりも精神的症状のほうがつらい…」と感じている方はPMDDの可能性が高いです。
特に「気分の落ち込みがひどい」「緊張感、不安感などが強い」「情緒が不安定でコントロールが効かない」といった症状がみられる場合はPMDDかもしれません。
生理前の情緒不安定!今からできる対策は?
毎月やってくる生理に加え、体調不良を起こす厄介なPMSやPMDD。
そのような症状をなるべく軽減するために、対策をご紹介します。
毎月のことだから…と諦めずに、きちんと対策をしてつらい症状から抜け出しましょう。
生活習慣を整える!
症状を改善するために、まずは生活習慣を見直してみましょう。
食事や睡眠の時間が不規則だったり、栄養バランスの取れていない食事をしてしまったりしていませんか?
また、漢方薬などによる治療も効果がみられる場合があります。
生活習慣を整え、必要に応じて漢方の力を借りることで症状が改善する可能性があります。
PMDDの場合はSSRIによる治療!
症状がより重いPMDDの場合は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)による治療も検討することがあります。
SSRIは、一度放出されたセロトニン(幸せホルモン)が細胞の中へ再び取り込まれることを阻害することで、脳内のセロトニン濃度を上昇させます。
そうすると神経伝達がスムーズに行われるため、気分障害を改善してくれると考えられています。
こちらの方法はうつ病の治療にも行われる方法です。
生活習慣等を正しても改善が見られない場合はこういった治療方法もありますので、ぜひ医師に相談してみてください。
低容量のピルを服用する!
低用量ピルの服用は、生理に関するさまざまな悩みを軽減してくれる可能性があります。
生理不順、不正出血などもありますが、PMSやPMDDの改善にも効果がみられています。
生理に関して多くの悩みをお持ちの方は、一度産婦人科へ行って低用量ピルの相談をしてみるというのも一つの手です。
カウンセリングで精神的負担を軽くする!
カウンセリングを受けて、自分自身の気持ちを話すことで症状が軽減される方もいます。
とにかく辛くて誰かと話したい、と感じている方はぜひカウンセラーの方に相談してみてください。
PMSやPMDDで精神的に辛い!予想外のデメリットが?
PMSやPMDDは自分自身の体調に大きな影響を及ぼしますが、対人関係でもさまざまなデメリットを抱えています。
PMSやPMDDによる、対人関係でのデメリットをいくつかご紹介します。
家族や友人との関係が悪化する原因に!
PMSやPMDDの症状によって、イライラしたり憂鬱な気分になったりすることがあります。
そういったときに家族や友人と接すると、イライラしてつい当たってしまったり、必要以上に自分を卑下してしまったりして、対人関係の悪化につながる場合があります。
PMSやPMDDの症状に理解がある方なら分かってくれるかもしれませんが、もしもPMSやPMDDのことを全く知らない方がいた場合は「なぜ?」と感じてしまいますよね。
そのようなことが起こらないためにも、きちんと症状について事前に話しておくことや、しかるべき治療や対策を取ることが重要です。
彼氏と別れたくなる!メンヘラと思われる!
彼氏は家族や友人と同じくらいか、あるいはそれ以上に近しい存在です。
近くにいる人にこそ当たってしまうことや、不安をぶつけてしまうことはよくあることがと思います。
ときには、精神が安定しないので突然自分から別れを切り出してしまう…ということも。
男性には生理がないので、PMSやPMDDのことを正しく理解していない場合もあります。
特に付き合いがまだ浅い場合だと、「この子はもともと情緒が不安定な子なのかな」と思われてしまう可能性があるので、きちんと説明をして理解してもらえることがベストです。
仕事を失う可能性も!
PMSやPMDDは職場でも大きな影響を及ぼします。
そもそも体調や気分が優れず職場に行けない…ということもありますし、人間関係の悪化や、サービス業の場合は接客態度に症状が出てしまうことも。
そういったことが続くと、人間関係の悪化でさらに職場に行きづらくなったり、クレームが入ってしまったり、ということも考えられます。
そのため、周りの人の理解を得ながらきちんと治療を行い、改善へと向かっていく必要があります。
1人で悩まずに専門家に相談しよう!
今回はPMSとPMDDの症状や2つの違い、症状を改善するための具体的な対策などをご紹介しました。
PMSとPMDDは似たような症状が現れて発症時期も似ているものの、とりわけ精神的症状が重い場合はPMDDの可能性が高いということが分かりました。
きちんと対策をして症状を改善しないとさまざまなデメリットが起こってしまうので、自分自身に合った対策や治療が必要です。
PMSやPMDDの場合は、決して一人で悩んだり、我慢したりすることなく専門家や医師に相談することをおすすめします。
症状はひとりひとり違うので、自分に合った対策方法や治療方法を専門家と一緒に見つけていきましょう。