ボトックス治療の大手「ガルデルマ社」は、ダイエットにも用いられる糖尿病治療薬オゼンピックによって引き起こされる老け顔「オゼンピック顔」について注入医療によって改善出来る可能性があると述べました。
オゼンピックは糖尿病のお薬
オゼンピックは2型糖尿病治療に用いられる注射タイプの医薬品です。
GLP−1製剤に分類されています。
インスリンの分泌を促進し、血糖値の上昇を抑える事で食後の満腹感を持続させる働きがあるため、空腹感が穏やかになり食欲を抑えられます。
GLP-1は消化管から分泌されるホルモンの総称です。
インスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌を促す働きと、グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を抑制する働きがあります。
ダイエット目的で利用される一面もある
本来、オゼンピックは糖尿病治療に用いられるお薬ですが、食欲を抑える働きがある事からダイエット目的で利用されることがあります。
オゼンピックを使用すると食欲を抑えられるため、1日の摂取カロリーが減り、体重減少が期待できます。
また、基礎代謝を上げて脂肪を分解しやすくする働きによるダイエット効果も期待されています。
日本では糖尿病治療に用いる場合には保険が適用されますが、ダイエット目的で使用する場合には保険が適用されず、自費診療扱いとなります。
オゼンピックで急激に痩せると皮膚が垂れ下がり老けて見える
オゼンピックをダイエット目的で使用すると食事制限をしたり、運動量を増やすことなく体重を減らせますが、顔の皮膚が垂れ下がり老けて見える現象(通称「オゼンピック顔」)を生じる事があります。
「オゼンピック顔は急激に体重が減少したことにより生じる現象」とされており、オゼンピックの副作用ではないと医師らは考えております。
ガルデルマ社はオゼンピック顔を改善できる
製薬会社ガルデルマのCEOフレミング・オルンスコフ氏はこの「オゼンピック顔」を改善することが会社にとっての利益、成長に繋がると考えています。
アメリカでは約350万人の患者がオゼンピック等のGLP-1治療を受けており、ギャラップ社の世論調査によれば、アメリカ成人の約6%、推定1550万人がこれらの薬を試して体重を減らそうとしています。
ガルデルマのCEOであるフレミング・オルンスコフ氏は、「フィラー施術や長期作用型のバイオスティミュレーター製剤を用いることで、オゼンピック顔を軽減もしくは改善できる」と述べているため、オゼンピック顔の改善が大きなビジネスチャンスに繋がると考えています。
ヒアルロン酸等の注入を行う施術。
ほうれい線を消したり、立体感のある顔立ちを演出するために行われます。
肌の水分量を増やしたり、コラーゲン生成を促進させるお薬。
加齢により衰えた肌本来の修復機能を引き出す作用があります。
ダイエット薬は美容医療を急速に進化させている
製薬会社ガルデルマのCEOフレミング・オルンスコフ氏は「体重減量製品は、美容医療を急速に進化させている」と考えています。
特に、神経調整剤「ボツリヌス毒素」のしわ緩和注射に対する需要が高いです。
ガルデルマはこのボツリヌス毒素を「ディスポート」という名で販売しています。
米国に本社をおく、アッヴィ社のボツリヌス毒素「ボトックス」と競合しています。
オルンスコフ氏は、「アメリカでは、注入美容からの成長がほとんどを占めている、同社の注入美容製品が今後もアメリカや他の地域で成長を牽引する。」と述べています。
昨年、ガルデルマは注入美容から213億ドルの売上を上げました。
これは、総売上高408億ドルのうち約半分に相当します。
オゼンピックのようなダイエット薬により、共通の肌の悩みを持つ患者の増加が予想できることから、今後も美容医療の需要が増え続けるとされています。
この記事の参考サイト
オゼンピック公式サイト
Skincare Company Galderma Sees Opportunity in ‘Ozempic Face’:WSJ