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肥満症治療薬ゼップバウンドが糖尿病の進行を急激に抑えると判明

肥満症治療薬ゼップバウンドが糖尿病の進行を急激に抑えると判明

イーライリリー社の発表によると、肥満治療薬ゼップバウンドを3年以上投与することで、2型糖尿病への進行リスクを94%減少させたことが研究によって明らかになりました。
今回の記事では、肥満治療薬と糖尿病の関係性について詳しく解説します。

肥満治療薬「ゼップバウンド」が糖尿病の進行を防ぐ

イーライリリー社が開発した肥満症治療薬「ゼップバウンド」は、過剰な体重と血糖値の上昇が認められる人々の2型糖尿病のリスクを有意に減少させたことが、最新の研究で明らかとなりました。

本研究により、注目されている新たな肥満症治療薬ゼップバウンドは、体重減少という効果以上の健康面でのメリットを得られることが分かりました。

これまでの研究では、ノボノルディスク社が開発した肥満症治療薬「ウゴービ」が心臓発作や脳卒中のリスクを減らすことや、今回の「ゼップバウンド」が閉塞性睡眠時無呼吸症候群の重症化リスクを下げることが明らかにされてきました。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時、気道が圧迫されて呼吸が止まってしまう疾患。

ゼップバウンドとは

米イーライリリー社が開発した肥満症治療薬。
成分名は「チルゼパチド」で、GLP-1受容体作動薬に分類されます。

2023年11月米国において、肥満症治療薬として承認されました。
元々、同じ成分で、糖尿病治療薬として「マンジャロ」という商品名で販売されており、体重減少効果が認められていました。

マンジャロは糖尿病治療薬として承認されているため、体重を減少させる目的で使われる場合、適応外処方となってしまい、保険が適用できません。
保険適用を可能にするために、改めて肥満症治療薬「ゼップバウンド」として承認を得ています。

日本では、糖尿病治療薬としてマンジャロが2022年9月に承認されています。
肥満治療薬としてはまだ承認されていません。

2型糖尿病とは

2型糖尿病は、遺伝的要因と生活習慣の乱れによって引き起こされる疾患です。
血糖値を下げるホルモン(インスリン)の分泌量が減ったり、効き目が悪くなるなどして血糖値が高い状態が続きます。

高血糖時には以下のような症状が現れる事があります。

  • 口渇
  • 多飲
  • 多尿
  • 体重減少

インスリンを投与するなどして、厳格な血糖コントールを行わなければ、以下のような合併症を引き起こす事があります。

  • 腎不全
  • 失明
  • 足の切断
  • 心筋梗塞

非糖尿病の肥満の人々を対象に研究が行われた

今回の新たな分析は、高い血糖値を示す「糖尿病予備軍」を対象に行われました。
糖尿病予備軍は、2型糖尿病へと進行するリスクが非常に高い状態です。

2024/8/20、イーライリリー社の発表によると、ゼップバウンドを3年以上毎週投与することにより、プラセボ(成分の入っていない偽のお薬)と比較して、2型糖尿病への進行リスクを94%減少させたことが今回の研究で明らかとなりました。
今回の研究は過体重で、糖尿病予備軍の人々を対象としています。

更に、プラセボ群で2.1%の体重減少が認められたのに対し、薬剤投与群では投与量に応じて、平均およそ15~23%の体重減少が認められました
この体重減少という効果は薬を投与している間しか認められませんでした。

治療の追跡調査の停止かつ17週間投与を中止していた患者は体重が増加し始め、2型糖尿病も進行してしまいました。
17週間の治療停止中を含め、ゼップバウンドを投与した患者は、プラセボと比較して、2型糖尿病罹患のリスクを88%減少させることが明らかとなりました。

この記事の参考サイト

2型糖尿病
Eli Lilly Says Weight-Loss Drug Sharply Reduces Diabetes Progression – :WSJ