FDAがノババックス社の改良型新型コロナワクチンを承認したことで、今後の米国民は、新型コロナウイルスの追加接種において、3つの選択肢を選べるようになりました。
今回はノババックス社が開発した改良型新型コロナワクチンについて解説します。
ノババックス社の改良型新型コロナワクチンが承認された
米国食品医薬品局(FDA)は、ノババックス社の新型コロナウイルスワクチンの改良型を12歳以上の人々に対して使用するための製造販売承認を行いました。
このワクチンは、2023年に流行していた新型コロナウイルスの変異株に対応するように設計されており、秋から冬にかけての感染拡大に備えるために有効とされています。
米国疾病予防管理センター(CDC)は2023年9月、ほとんどの人々に対して改良型のブースターショットを接種することを推奨しました。
この推奨は、FDAが承認したすべての改良型ブースターショットに適用されており、今回のノババックス社のワクチンもその対象に含まれると、CDCの広報担当者は述べています。
米国疾病予防管理センター(CDC, Centers for Disease Control and Prevention)は、米国の公衆衛生を担当する政府機関です。
1946年に設立され、感染症の予防と制御、環境衛生、健康増進などを主な目的としています。
世界中の感染症や疫病の監視、研究、予防措置を行うことで、米国および国際的な健康を守る役割を果たしています。
特に新型コロナウイルスのパンデミック時には、感染拡大防止のためのガイドラインやワクチン接種推奨を行い、重要な役割を担いました。
ブースターショットとは、初回接種や定期的なワクチン接種後に免疫力が弱まるのを防ぐために、追加で接種するワクチンのことです。
新型コロナウイルスにおいては、ウイルスの変異株や感染再拡大に備えるため、特に秋冬にブースターショットが推奨されることが多く、免疫を強化する目的で行われます。
ノババックス社の改良型新型ワクチンの効果・仕組み
ノババックス社のワクチンは、ファイザー・バイオンテック社やモデルナ社の新型コロナワクチンとは異なる仕組みで効果を発揮します。
ファイザーやモデルナのワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)を使って新型コロナウイルスへの免疫を活性化しますが、ノババックス社のワクチンは組換えタンパク質ワクチンを使用して免疫反応を引き起こします。
この改良型ワクチンは、新型コロナウイルスのXBB.1.5変異株を標的とするように設計されています。
この変異株は、2023年6月にFDAのアドバイザーがワクチンの改良を提言した時期に、米国で広く流行していました。
2023年6月以降、XBB.1.5変異株は減少し、新しい変異株が代わって拡がっています。
XBB.1.5と同様に、これらの新しい変異株はオミクロン株の系統に属しているため、改良型ワクチンも依然として効果があるだろうと多くのワクチン研究者は述べています。
ノババックス社は、動物実験により、改良型ワクチンがXBB.1.5変異株を標的にするだけでなく、最近流行している複数の変異株に対しても免疫反応を引き起こすことが確認されたと発表しました。
mRNAワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)という分子を使って、体内でウイルスのタンパク質を作り、それに対する免疫反応を引き起こす仕組みのワクチンです。
従来のワクチンとは異なり、ウイルスの一部を直接投与するのではなく、遺伝情報を利用して体内でウイルスの一部を作り出すことで免疫を形成します。
ファイザー社やモデルナ社のワクチンがこれに該当します。
ウイルスのタンパク質を人工的に作り出し、それを体内に導入することで免疫反応を引き起こすタイプのワクチンです。
ウイルス全体を使用せずに、ウイルスの一部分であるタンパク質のみを利用するため、安全性が高いとされています。
この技術は、インフルエンザやB型肝炎などのワクチンでも使用されており、ノババックス社のワクチンはこの技術に基づいています。
今後も新しいワクチンが開発されて続ける
新型コロナウイルスは以前ほどの猛威を奮ってはいませんが、基礎疾患がある方にとっての大きな脅威であることに変わりありません。
今後も、多くの製薬会社が新型コロナウイルスによる健康被害を抑えるためのワクチン開発に注力すると予想されます。
この記事の参考サイト
ブースターショットの効果について
mRNAワクチンとはどのようなワクチンですか?
FDA Authorizes Novavax’s Updated Covid Vaccine:WSJ