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産後うつ病の経口薬「ズルズバエ」がFDAにより承認

産後うつ病の経口薬「ズルズバエ」がFDAにより承認

2023年8月、FDAによって初の産後うつ病の経口薬「ズルズバエ」が承認されました。
今回の記事では、新薬ズルズバエについて詳しく解説します。

産後うつ病の経口薬「ズルズバエ(Zurzuvae)」がFDAによって承認される

2023年8月4日、FDAによりセージ・セラピューティクス社が開発した産後うつ病治療に用いられる経口薬「ズルズバエ(Zurzuvae)」が承認されました。

産後うつ病は母親の幸せで大切な時期を台無しにしかねません。
今回の経口抗うつ薬が販売開始されれば、便利で即効性のある治療の選択肢を手に入れることになるでしょう。

ズルズバエはどんなお薬?

ズルズバエの有効成分ズラノロン(zuranolone)は脳のGABA受容体に作用し、脳の興奮を鎮め、不安感やストレスをコントロールする手助けをしてくれます。
本剤は産後うつ病で不眠症を抱えている女性に対し、心を落ち着かせ、休息を与えることにより、その効果を発揮すると考えられています。

GABA

アミノ酪酸というアミノ酸の一種。
メロンやトマト缶などに豊富に含まれています。
脳の興奮を鎮めたり、緊張やストレスを緩和する働きがあります。

臨床試験では、「日々の生活に著しく支障が出ている中等度~高度の産後うつ病の女性」に対して2週間、ズルズバエが投与されました。
臨床試験の結果によると、プラセボ投与群では産後うつ病の症状が40%緩和されたのに対し、ズルズバエ投与群では症状が55%緩和されました

過去にも類似した医薬品があったが、非現実的な使用方法だった

ズルズバエは、セージ社が2019年に開発した「ズルレッソ」という薬剤に似た働きがあります。
「ズルレッソ」は産後うつ病に特化した初めての医薬品として承認されましたが、2日にわたる持続静脈注射による投与が必要なため、多くの患者にとって非現実的な治療法でした。

ズルズバエは経口薬のため、わずかな時間と水さえあれば問題なく服用が可能なため、産後うつ病に悩む多くの女性の助けになるとされています。

従来の産後うつ病治療薬よりも早く効く

今まで、産後うつ病で一般的に用いられる薬剤は、「ゾロフト」や「レクサプロ」のような抗うつ薬でした。
一般的にこれらの薬剤の効果を判断する場合、効果が得られるまで最低でも1~2ヵ月程度要するデメリットがありました。

今回承認されたズルズバエは、飲み始めてから数日以内にうつ症状が緩和されることが期待されています。

新薬承認により産後うつ病で悩む母親が減ることが期待される

アメリカ疾病予防管理センター(以下、CDC)によると、産後うつ病は出産直後の母親の8人に1人の割合で発症しています。
しかし、研究者の中にはこの割合はもっと高く、半分程度はうつ病と診断されていないのではないか、という意見を持っている人もいます。

アメリカでの産後の母親の死亡原因のほとんどが薬物過剰摂取や自殺です。

Deligianniedis医師は次のように語ります。

「このような女性たちは、激しい悲しみに加え、赤ん坊との絆を築くことに興味がなくなってしまいます。」
「シャワーを浴びることや歯を磨くことすら止めてしまうこともあります。」
「おむつを替えるような気力もなく、赤ん坊の世話をせず、泣いている赤ん坊を放置してしまいます。」

今回、FDAによってズルズバエが承認された事により、今後は簡単に短期間で産後うつ病の症状を和らげる事が出来るようになります。

産後うつ病に悩む多くの母親にとって、ズルズバエが子供との幸せな時間を取り戻すための助けになる事が期待されています。

この記事の参考サイト

産後うつ病
First Pill for Postpartum Depression Is Approved by FDA:WSJ