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減量薬「ウゴービ」が脳卒中や心臓発作のリスクを20%削減。新たな研究で判明

減量薬「ウゴービ」が脳卒中や心臓発作のリスクを20%削減。新たな研究で判明

2023年8月、ウゴービが心臓発作や脳卒中リスクを20%低減する効果が臨床試験で確認されました。
減量薬としての新たな効果について解説します。

ウゴービの新たな効果:心臓発作や脳卒中リスクを低減

2023年8月、ノボ・ノルディスク社の抗肥満薬「ウゴービ」が、大規模臨床試験において、心臓発作や脳卒中、心血管疾患による死亡リスクを20%低減すること確認されたと発表されました。

ウゴービの臨床試験の概要と結果

ウゴービの臨床試験では、以下のような結果が得られました。

対象者:45歳以上で心血管疾患の既往歴があり、BMIが27以上の成人17,600人

方法:ウゴービまたはプラセボ(偽薬)を週1回注射する二重盲検試験

結果:ウゴービを服用したグループは、心臓発作や脳卒中、心血管疾患による死亡が全体で20%減少

この結果は、試験前に設定された「死亡リスク17%減少」という目標を上回るものでした。

BMIとは

ボディマスインデックスの略で、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることで計算される値です。
肥満の程度を評価する指標として使われ、通常は25以上が肥満とされています。
BMIが27の人は、173cmの身長で約80kgの体重に相当します。

プラセボとは

実際には薬効成分を含まない偽薬のこと。
臨床試験では、本物の薬がどれほど効果があるのかを比較するために使われます。
プラセボを使用することで、薬自体の効果と、心理的な効果を区別することができます。

ウゴービの作用機序

ウゴービは、腸のホルモン「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」と似た作用を持ち、食欲を抑制し、インスリン分泌を助けます。
主成分セマグルチドは、元々2型糖尿病治療薬として承認されており、体重減少効果も期待できる薬として知られています。

GLP-1とは

腸から分泌されるホルモンです。
主に食事後に分泌され、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる役割を持ちます。
また、食欲を抑制する効果もあり、肥満治療に使用される薬剤に応用されています。

糖尿病治療薬としても長年使用されています。

心血管疾患リスクと肥満治療薬の関係性

肥満は心血管疾患のリスクを高めることが知られています。
これまでも減量手術が心臓発作や脳卒中のリスクを低減する効果が示されてきましたが、薬剤での同様の効果は確認されていませんでした。

今回の結果は、非糖尿病患者においてもウゴービが心臓や血管の健康を改善する可能性を示しています。
今後は心血管疾患リスクの予防として、減量剤を用いて肥満を改善する人が増えるかもしれません。

臨床試験に対する専門家の評価

今回の臨床試験に対して、専門家は以下のような評価を下しました。

「この臨床試験は非常に革新的であると言えます。心臓発作や脳卒中のリスクが大幅に減少したことが確認されました。」
— イェール大学医学部 肥満治療専門医 アニア・ジャストレボフ氏

安全性と副作用

ウゴービは臨床試験においておおむね安全であり、忍容性に問題はありませんでした。
ただし、吐き気や下痢などの胃腸症状が報告されており、注意が必要です。

また、一部の患者には抑うつや自殺願望傾向が見られたことから、監視が推奨されています。

忍容性とは

薬剤や治療を受ける際に、その副作用や身体への負担を患者がどれだけ耐えられるか、つまり治療を継続できるかどうかを指す言葉です。
忍容性が高い薬剤は、患者が副作用をあまり感じずに治療を続けやすいことを意味します。

逆に忍容性が低い場合、強い副作用が出てしまい、治療を続けるのが難しくなることがあります。
忍容性は、新しい薬の臨床試験において、安全性や効果と共に重要な評価項目の一つです。

今後の展望

ノボ社は、ウゴービの心臓の健康効果を効能として追加するために、規制当局(FDAなど)に承認申請を行う予定です。
承認されれば、ウゴービが体重減少と心臓の健康改善を同時に提供する薬として位置づけられることになります。

この記事の参考サイト

Weight-Loss Drug Wegovy Cuts Stroke, Heart-Attack Risk by 20% in New Study:WSJ