肥満治療薬「ウゴービ(Wegovy)」が中国で承認され、ノボノルディスク社(Novo Nordisk)は、中国市場で販売を開始できることになりました。
中国は世界で2番目に大きな市場で、肥満治療薬の需要が急増しています。
ウゴービはダイエット科で処方される注射タイプの医薬品
ウゴービはノボノルディスク社が製造販売を行っている注射タイプの肥満治療薬です。
糖尿病治療薬「オゼンピック」「リベルサス」と同じ有効成分「セマグルチド」を含有しています。
週に一度の注射で、食欲を抑制し、体重を減少させる効果があります。
ウゴービの働き・効果
ウゴービの有効成分「セマグルチド」は脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制します。
胃の蠕動運動(波を打つような動き)を抑えて満腹感を出す働きもあります。
週に1度の投与を68週間(約15カ月)続けることで、平均15%前後の減量効果が得られるとされています。
※食事療法を合わせた場合
日本での取り扱い
ウゴービは日本でも承認されている処方薬です。
肥満外来や消化器内科で処方されることがありますが、保険適用される条件は厳しいものとなっております。
以下いずれかに該当かつ内服治療中であること。
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 2型糖尿病
更に、以下いずれかの条件を満たす必要があります。
- BMIが35kg/m²以上
- BMIが27㎏/m²以上35㎏/m²未満の場合、肥満に関連する健康障害を2つ以上有する
ダイエットをしたいからといって簡単に処方される医薬品ではなく、厳しい条件を満たし、ある程度の肥満治療を行ったにもかかわらず十分な効果が得られなかった人に処方される医薬品となっています。
2024年6月に中国がウゴービを承認
2024年6月25日、ノボノルディスク社は「中国でウゴービが承認された」と明らかにしました。
販売価格、入荷時期、出荷量などはまだ未定ですが、自費購入者(自費診療価格で購入する患者)に供給される可能性が高いと述べています。
他の市場でもウゴービの需要が急増しているため、同社は現在の患者への供給を確保するために供給を制限せざるを得なくなっており、供給制限を緩和するために新しい生産能力構築の為に数十億ドル投資をしています。
中国の肥満成人の割合は51%に達しており、ダイエット薬の需要が増えている
CDC(米疾病対策センター)によると、アメリカの成人における肥満の割合は35.7%でした。
中国では、2022年に過体重および肥満の成人の割合がほぼ51%に達しており、現在、世界で最も肥満成人が多い国になってしまいました。
肥満の成人の割合が増えている中国ではダイエット薬の需要が急増しています。
ウゴービと同じ有効成分を有する糖尿病治療薬「オゼンピック」が2021年に中国が承認されましたが、2023年に前年比で2倍以上の売上「6936万ドル(10月25日現在の為替レートで日本円約111億7000万円)」に達しました。
ノボノルディスク社の糖尿病治療薬。
ウゴービと同じ有効成分セマグルチドを含有。
主に2型糖尿病の患者に対して使用され、血糖値のコントロールと体重減少を助けます。
特許が切れ次第、ジェネリック医薬品の登場も予想される
中国の現地の製薬メーカーは、オゼンピックやウゴービなどの人気の治療法に類似した自社製品を開発をし、競争が激化しており、ノボノルディスクのセマグルチド特許が2026年に期限切れになることで、ジェネリック薬の登場が予想されています。
中国の当局(NMPA、SFDA)は、既にノボノルディスクの薬と同様の働きをする2つの医薬品を承認しています。
今後もウゴービの需要は増え続けると予想される
従来の肥満治療に用いられる医薬品に比べ、ウゴービは有効成分を多く含有している為、体型改善や肥満改善を求めるユーザーからの需要は今後も増えていくと予想されます。
日本でも既に承認されている医薬品ですが、保険適用での使用はハードルが高い傾向にあります。
ウゴービ以外にも肥満治療に用いられる医薬品は多数存在します。
- ゼニカル(アライ)
- リベルサス
- フォシーガ
ダイエットを初めたばかりの人は、ウゴービのような入手難易度や処方のハードルが高い医薬品ではなく、まずは国内で入手可能な医薬品を試してみるのも良いかもしれません。
オイダス 120mg
フォシーガ 10mg(14錠)
この記事の参考サイト
ウゴービ公式サイト
肥満症治療薬「ウゴービ」:長野松代総合病院
Novo Nordisk’s Wegovy Weight-Loss Drug Gets Approval in China:WSJ